ストレートネックについて


ストレートネックとは?

 

ストレートネック(Straight neck)とは、日本語に直訳すれば「まっすぐな首」となります。

 

人間の背骨(首~腰、骨盤まで)は生理的彎曲と言うものがありまして、本来、首の骨は緩やかに前に凸のカーブを描いています。

 

この生理的頚椎の前彎が失われ、直線的または後ろに凸の後彎になったものを「ストレートネック」とか「首猫背」などと言います。

 

このストレートネックは「垂直型」「前方型」「後方型」「混合型」に分類されています。

 

ストレートネックに気が付かず、もしくは気が付いても我慢する状態が長く続くほど、様々な症状が起こってきます。

 

早めの対処が早期改善に繋がります。


ストレートネックが悪いわけ

 

なぜストレートネックになるといけないのでしょうか?

 

人は頚椎で自身の頭を支えています。

 

頚椎に正常な前彎があることにより、頭の重みをうまく分散する事が出来るのですが、真直ぐな状態になるにつれ、頭の重みが直接頚椎に負担を掛けてしまいます。

 

また、頭の重心は耳の穴の前上方の頭の中心(蝶形骨の辺り)にあります。

 

首と頭との関節の前に頭の重心がある為、立っていたり、座っていたりするだけで、首の後ろにある抗重力筋(重力に逆らって体を支える筋)が働いているのです。

 

ストレートネックになりますと、頭の重心が前方に移動し、テコの原理で、より頭を支える抗重力筋に負担が掛かってしまいます。

 

これらのことにより、長年、ストレートネックを放っておきますと、頚椎の変形や筋肉の萎縮に繋がり、痛みや症状の悪循環に陥ります。

 

実際に治療した方のレントゲン写真やMRI画像を確認しますと、頚椎に変形があったり、首の後ろの筋肉の太さが正常の1/2~1/3程度に萎縮している場合もありました。

 

筋肉の萎縮に対しては、トレーニングにより回復する可能性は多くありますが、変形してしまった骨に対しては保存的療法(いわゆる外科的手術ではない治療法)では形を変えることが出来ない為、繰り返しになりますが早期に治療を開始する事が大切となってくるのです。

 

但し、骨に変形がありましても症状を改善させることは可能です。

骨の変形とアライメント異常(骨の位置の異常)は異なります。

アライメント異常(ストレートネック)の改善は可能です


ストレートネックの原因

 

ストレートネックと言う言葉が一般的に使われる以前(10年前ぐらい)には、今ほど多くの患者さんに見られなかったように思われます。

 

その頃は、ストレートネックは車の衝突事故などによるムチ打ち損傷の方に多く見られました。

 

私は、ストレートネックであれば「きっとムチ打ち損傷をやったことがあるに違いない」と思い、その事を確認すると多くの方が「覚えがある」と言われていました。

 

しかし、10年前ぐらいからムチ打ちをやった事がない方にも多くみられるようになりました。

 

何人もの患者さんにお話を伺い共通していたのは、仕事で長時間のパソコン作業を行なっているということです。

 

パソコンはとても便利なもので、今では仕事でパソコンを全然使っていない方を見つけるほうが困難なほど普及しています。

その為か、今ではストレートネックの患者さんは珍しくなく、よく見かけるようになりました。

 

このように書くとパソコンだけが悪いように捉えられてしまいそうですが、パソコンだけが悪いのではなく、同じ姿勢での作業を長時間続けることがストレートネックの原因になっていると思われます。(しかし、本などに比べ画面がチカチカする為、目に負担がかかりとパソコン自体の害も否定できませんが、、、)

 

また、最近では携帯ゲーム機や携帯電話が普及し、ずっと同じ格好でそれらを操作する人が増えてきた為か、小・中学生や高校生であってもストレートネックが増えてきていると言われています。

 

コンピューターの普及により大変便利になりましたが、その為、休日は家でネットサーフィン、ゲーム機で遊ぶなど、体を動かす機会が少なくなったこともストレートネック増加の原因になっていると考えられます。


ストレートネックの症状

 

ストレートネックになることによって頚の後ろの筋肉に過剰に負担が掛かる為、萎縮することを先ほど述べましたが、そのことにより首回りの筋肉が緊張し、頭に行く血流が悪くなる為、

 

頭痛、肩凝り、首が回らない、耳鳴りやめまいがする、目が疲れやすい、手がしびれるなど、様々な症状を訴えられます。

 

また、頚椎は自律神経と深い関わりがあります。

 

ストレートネックによって、胃の具合が悪い、頭が逆上せる、体がだるい、微熱が続く、風邪を引きやすい、などの自律神経の影響からと思われる症状を訴える方も多くいらっしゃいます。


ストレートネックの治療法

 

ストレートネックと言いますと「真直ぐな首」というだけに、首だけを治療すれば良くなると思われる方もいらっしゃるかと思います。

 

実際、私自身、ストレートネックの方を初めて施術させて頂いた時は「首を積極的に施術すればよくなるだろう」と思っていました。

 

しかし、首だけの施術では施術直後の効果は良いのですが、すぐに戻ってしまうことが多くあったのです。

 

何度か施術をしていくことにより、首自体の問題というよりも、肋骨や胸椎(背骨)の動きの低下が首に大きな影響を与えているという事に気がつきました。

 

その後も施術を続けていくうちに、腰や骨盤、股関節、足首、腕などからも影響を受けている事が多く。

人によって最も首に悪影響を及ぼしている部分を探し出し、その人その人にとって最適な施術をしなければストレートネックが改善されないことが分かりました。

 

今では、全身の骨格バランスを整えてから、特に重要だと考えられる肋骨と胸椎の動きを正常化させることが、ストレートネックの改善に大切だと考えております。


ストレートネックの予防法

 

原因のところで記載しましたように、同じ姿勢を長時間続けることや日常での運動不足によりストレートネックになる方が多い為、仕事の合間に軽く立ち上がって体を動かすことを進めております。

 

また、自分で出来る肋骨や胸椎の動きを改善させる体操や首の動きを改善させる体操など、一人一人にとって、より効果的であると思われる体操を説明させて頂いております。


最後に

 

晴明堂では、当院の施術とお家での体操と日常生活の原因の除去により、症状の早期改善と再発予防を目指しております。

 

ストレートネックを長年持っている方ほど時間と回数が掛かる事が多いですが、そのまま放っておかず、少しでも早く治療を開始する事を願います。

 

誠心誠意、施術させて頂きます

お互いに協力して改善させていきましょう!