脊柱管狭窄症からの痛み(治療例)

60代後半の男性で、主訴は 腰の痛み、歩くと左ももの外側と後側あたりに痛みが出てくると言われていました。

 

症状の経過は8ヶ月前より腰痛を感じるようになり、段々と痛みが強くなってきたそうです。

 

最初は腰の痛みだけでしたが、最近では歩いていると太ももの外側と後側にも痛みを感じるようになり、当院に来院されました。

 

病院での検査では、レントゲン写真とMRIにて椎間板が変形して神経を圧迫している言われ、脊柱管狭窄症(椎間板ヘルニアによる)と診断されました。

 

西巣鴨から当院までは600mぐらいの距離なのですが、最初に来院された頃は、3回ぐらい途中で休まないと太ももが痛くて歩けないと言われていました。

 

当院で、姿勢の検査を行なうと左肩が下がっており、左肩甲骨も下がっていました。首も傾いており、痛みを庇っていた為か、全身のバランスが随分と崩れていました。

 

特に、骨盤の捻れ・腰椎の歪みが著しく、腰に負担が強く掛かっているように思われました。

 

椎間板ヘルニアと言われても、実際には画像所見と神経学的な所見が一致

しないことも多く、この方も痛みを訴える部分と椎間板の変形部位とは一致していなかった為、骨盤と腰椎の歪みを修正することによって症状が改善するのではないかと考えました。

 

症状を持たない(いわゆる正常な)方であっても、MRIを撮るとヘルニアがみられる場合が多くあるという報告もあり、椎間板ヘルニアが痛みの原因でない場合も多くあります。

 

実際、整形外科で勤務している時に、何人もの椎間板ヘルニアのある坐骨神経痛の患者さんを治療しましたが、画像上は変化がない場合でも症状が改善された方は数多くいらっしゃました。

 

大切なのは骨格の歪みを調節して、局所的な負荷を軽減させ、筋の過緊張と関節の動きを正常化することだと考えます。


実際の治療

このような症状の方は鍼治療を併用する方が改善が早くおススメするのですが、この患者さんの場合は鍼治療が怖いと言われていましたので、指圧と関節モビリゼーションで施術を行ないました。

 

特に骨盤の歪みと腰椎の捻れを重点的に全身のバランスを取ることを目的として、施術を行ないました。

 

少しでも早く改善したいと言われていましたので、最初の1ヶ月半ほどは週1~2回のペースで行い、症状が安定して来たので週1回、2週に1回と治療の間隔を拡げていきました。

 

身体の歪みは、悪い状態の時には治療でよい状態に持っていっても、すぐに戻ってしまうので、骨盤と腰の体操を覚えて頂きました。

 

自宅での体操を熱心にやって頂いたおかげで、随分と早い期間で骨盤と腰椎がよい状態に安定して頂けました。

 

最初に来院された時には、趣味の旅行に行けなくなりそうなことを、とても残念そうに言われていましたが、治療開始から3ヶ月後には、海外旅行に行けるまでに回復されて、とても嬉しく思いました。

 

 

最近は、患者さんの多くに自宅でも出来る簡単な体操を覚えて頂き、実践して貰っています。

 

熱心に実践されている方ほど、次回の治療のときに、戻りが少なく、より深いところまで治療できるので、とても助かっております。

 

施術者の独りよがりでなく、患者さんの信頼と協力を得て

二人三脚で治療して行くことが大切なのだと深く感じています。